21世紀、地球を、地域を、生活を、持続可能な豊かさに
1,2 「循環型社会形成促進基本法」の成立
文:堀 孝弘
1 「循環型社会形成促進基本法」の成立
2000年5月9日、自民・公明など与党3党が提出していた「循環型社会形成促進基本法」(以下「循環型社会基本法」と表記)が衆議院で可決されました。同月25日からは参議院でも審議がはじまり、衆議院で唯一反対にまわった民主党も参議院では賛成にまわり、結局全会一致で可決・成立しました。
2 この法律には問題がいっぱい
この法律、とてもいい名前ですね。読者の中にも「ようやく日本にも『循環型社会をつくろう』という法律ができた」と喜んでいる人もあると思います。環境庁(当時)がこの法律を紹介するために配布したチラシにも、いいことばかりが書いてあります。
でも、実はそうではなく、さまざまな問題があります。ひとつには、非常に重要な法案であったにも関わらず、ほとんど国民の声を聞くことなく、議論らしい議論もないまま採決されたことがあります。それだけでなく、これまで数多く公布されてきた様々な環境法との関係・位置づけがよく見えないということもあります。さらに中身にも多くの問題があります。どのような問題があるか、ざっと条文を読んだだけではわかりにくいのですが、こういった分野で先進的に法律や制度づくりに励んできたドイツの経験も見ていくと、この法律の問題がとてもよく見えてきます。
本著では、「循環型社会基本法」ができて、現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型社会にどのような影響があるか(あるいはないか)、考えていきたいと思います。そのために、「循環型社会基本法」を「位置づけの問題」「中身の問題」それぞれから見ていきます。