報告:環境首都コンテスト近畿地域交流会 8/24 | 認定NPO法人 環境市民

報告:環境首都コンテスト近畿地域交流会 8/24

 2010年8月24日(火)、環境首都コンテスト全国ネットワークでは、コンテストで得られた情報の共有化及び今後の自治体における効果的な施策検討並びに自治体とのより深いパートナーシップを築いていくことを目的として、近畿地区自治体交流会を尼崎市で行いました。

2010年8月29日

日 程:2010年8月24日(火)
開催地:ホテル「ホップイン」アミング2階(尼崎市)

環境首都コンテスト全国ネットワークでは、コンテストで得られた情報の共有化及び今後の自治体における効果的な施策検討並びに自治体とのより深いパートナーシップを築いていくことを目的として、コンテストに参加いただいた自治体を中心に、関心のある自治体や市民にも呼びかけて地域単位で情報交流会を開催しています。

今回の近畿地区自治体交流会では、最終回となる第10回環境首都コンテストに向けて、第1部の昨年度先進事例の報告会、第2部の尼崎市長と宇部市長の両市長対談が行われました。
自治体職員、企業関係者、市民などから多くの参加をいただき150人収容の会場は満員御礼となりました。

【第1部】 先進事例発表

(1)環境総合計画の推進を担う『環境アニメイティッドやお』(大阪府八尾市)

『環境アニメイティッドやお』は、環境問題に積極的に取り組んできた事業者が開いた研究会を母体として、2004年12月に発足しました。市の環境総合計画にも示された望ましい環境像の実現のため多様な主体が参加したパートナーシップ組織として、市内の様々な環境活動への積極的な支援活動を行っています。
特徴的なのは、自然環境保全活動です。市の東部山麗にある高安地域のため池には、環境省レッドリスト絶滅危惧種 ⅠA類に指定されているニッポンバラタナゴが生息しています。その生息は、生活排水等により脅かされている状況にあります。そのため、高安山自然再生活動として生息の環境回復を図ってきました。例えば、(1) 上流にあたる山林の保水活動を高めるための間伐や下草刈り、(2) ため池での生息環境の観察、(3) 長らく放置されていた池の「ドビ流し」(ため池の底にたまった泥を流す水質浄化)の実施などを市民と行政の協働で実施しています。

(2)地域を愛する豊かな心を育む小学生ガイド(兵庫県加西市)

小学生が観光客に地域の案内をする小学生ガイドは、加西市立北条小学校の「総合学習」の一環として行われました。ガイド隊は、土曜日と日曜日に活動しています。ガイドをすることを通じて「まち」の宝をあらためて見つけ、大切にしたいものを確認することができるこの取り組みは、まちづくりを担う将来世代の育成につながっています。

(3)環境モデル都市の実現と地場産業振興を目指す共同発注グループによるLED開発と防犯灯LED化

LED防犯灯は、従来の防犯灯に比べてCO2は約3分の2になる上に、寿命は約5倍となります。LED防犯灯の開発は、第3セクターの共同受注窓口として飯田下伊那地域の企業間コーディネートを行う「NESUC-IIDA(ネスク・イイダ)」のメンバー業者が行いました。飯田市はここに発注を行うことで製品開発支援や雇用創出、地域経済への寄与を図っています。

【第2部】 産業都市の市長が語る 持続可能な地域社会を目指して

環境市民代表理事 すぎ本育生のコーディネートの下、白井文尼崎市長、久保田后子宇部市長の対談企画が行われました。産業公害を乗り越えて全国でもトップレベルの環境施策を進めているという点、市民派の女性市長であるという点など、何かと共通点の多い両市ですが、それぞれの取り組みの比較を通して、互いに良いところは取り入れようという意気込みから非常に活発な議論が行われました。
最終的には、尼崎市と宇部市で環境マネジメントシステムの自治体間相互監査制度立ち上げを目指すことや、環境フェアで相互の自治体ブースを設けるといった具体的な協働プロジェクトの構築にまで議論は及びました。
最後に、宇部市長から「市長同士の交流から、職員の交流、そして市民の交流を行うことでよりよい日本社会づくりができる」という言葉が発せられました。この言葉にこそ自治体交流会を開催する意義が表れていると感じました。

(文/環境市民ボランティア 小浜 寛一)