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報告:鴨川の野鳥に環境変化を観る! 〜鴨川に暮らす鳥、飛来する鳥観察会〜
環境問題や持続可能な地域づくりに役立つ情報をわ かりやすく紹介する講座「野の塾」シリーズとして、 2月27日(日)、西田律子先生(日本鳥類保護連盟専 門委員)を講師に鴨川の野鳥に環境変化を観る! 〜鴨川に暮らす鳥、飛来する鳥観察会を行いました。
環境問題や持続可能な地域づくりに役立つ情報をわ かりやすく紹介する講座「野の塾」シリーズとして、 2月27日(日)、西田律子先生(日本鳥類保護連盟専 門委員)を講師に鴨川の野鳥に環境変化を観る! 〜鴨川に暮らす鳥、飛来する鳥観察会を行いました。
“あっ”という間の観察会
午前10時に、賀茂川と高野川の合流する三角州公園 (京都市内左京区)に集合し、観察会がスタートしま した。その後、両川の合流地点にかかる“河合橋”を 挟んで北へ少し上がり、また、河合橋を下って加茂大 橋を越え、荒神橋の手前までの約1キロを10か所ほど 立ち止まりながら、“あっ”という間の2時間半でし た。最後は、西台先生中心に、今日見た鳥の様子や種 類などを参加者で確認し合ったり、感想を述べあった りしてお昼の12時半に終了しました。
大きさと嘴で見分ける
「今、水に潜った」「ほら、魚をとらえた」「あれ は、羽の防水をしているところ」など、野鳥を視界に 捉えたその瞬間、フィールドスコープの焦点をすぐ さまその鳥にくちばし当て、瞬間、 瞬間の野鳥の “動き”や “しぐさ”を 説明してくだ さる先生。野 鳥の行動や暮 らしぶりについて、まるで、鳥の仲間から直接、話を 聞くかのように生き生きとしていました。 「鳥は大きさと嘴の色でわかります。同じ鳥でも時 期によって、また、オスとメスでも嘴の色が変わりま す。カワセミの嘴は、上下とも黒いのがオスで、下が 赤いのがメス。青サギの嘴は、若鳥の時期のねずみ色 から、黄色、ピンクと変化します」。参加者は、セッ トされたフィールスコープを何度も覗き込んだり、持参した双眼鏡を見ながら、先生の身振り手振りを交え た話に熱心に耳を傾けていました。
環境変化が野鳥を直撃
「地球温暖化が鳥たちを翻弄している面もありま す。シベリアへ帰らず、留鳥になったり、温暖化によ る暖かさのゆえに、本来、年に一度の産卵を二度も三 度も繰り返し、急に数が増えている野鳥もいます」と先生。逆に、卵が孵化したのはいいが、急に寒くなる と、魚や水生昆虫が川底に沈み、えさが取れなくなっ たり、季節はずれの突然の豪雨や洪水で流されたりし て、せっかく生まれた雛が死ぬこともあるそうです。 「鴨川の水も、下水道の完備で水質も改善され、水草が育ち、多種類の魚や水生昆虫が生息できるよう になりました。浅瀬や中洲もあり、今、鴨川は野鳥 にとって、最高の生息地のひとつです。それでも鴨川 は、管理された川で自然のままの川ではありません。 鴨川は現在、中州なども適切に生かしながら、治水と 自然との共存に知恵を絞って、10年計画で浚渫工事中 です」と西台先生から説明がありました。
23種類の野鳥の発見に驚き
「鴨川で23 種類もの野鳥 を観察できる とは思っても いませんでし た」「何気な く見ている鳥 も、フィール ドスコープで見ると、その特徴やしぐさが大変よく分 かりました」「温暖化など環境の変化が野鳥にも大き な影響を与えていることを知りました」「野鳥の生活 や行動をより身近に感じることができました」など、 参加者からは、観察会を通して感じた驚きや気づきの 声がたくさん寄せられました。西台先生によると、 “鴨川で見た鳥の種類は約120種。その中にはいるは ずも無い鳥や留鳥になって生んだと思われる新種の鳥なども含まれています。鳥の種類の変化に、川の汚染 の変化や、気候変動など環境の変化を観る思いがしました。
(文/環境市民事務局 加藤 昭 写真:小出 廣行)